つちから農場(株)(取締役 中村好伸)・新篠津村

有機圃場面積:403a 認定機関・認定番号:北農会・第13003号-01
玉ねぎ

みらいすくすく通信第468号で紹介(2020.9)

 タマネギはジャガイモ、キャベツ、ダイコンに次いで収穫量が多い常備野菜(2017 農水省)。根菜の分類が一般的ですが、茎(鱗茎)の肥大した部分を食べています。原産は中央アジアという乾燥地域で、紀元前にはエジプトやヨーロッパに伝わりました。ピラミッド建設時の食料にしていたという記録があるそうですが、硫化アリルという成分がビタミンB1と結びついて代謝を高め、疲労回復に効果的ということからも頷けます。
 美味しいタマネギは「土から」そしてそれは「土のチカラ」。新篠津つちから農場のタマネギの1 年を見ていきましょう。始まりは2 月、ハウスでの育苗から。2 カ月間15cm程の大きさに苗を育て、4 月定植します。定植の前には、畑に「自家製堆肥」と「自家製ボカシ」を入れ込みます。自家製堆肥はワラや鶏糞を発酵させたもの。自家製ボカシは米ぬか、魚かす、もみ殻、糖蜜、そして乳酸菌を発酵させたものです。さらに畑には、前年の収穫後にえん麦をまき、それを刈って土に鋤きこむ「緑肥」も施されています。微生物を増やすことで有機肥料の栄養がタマネギに吸収できるように分解されます。中村さんは、調査結果を資料としてタマネギに同梱していますが、つちから農場の細菌数は1 グラムあたり約12 億。これはとある慣行栽培の圃場の約4 倍の結果となりました。そして収穫が行われる7~ 9 月までの間は、カルチと呼ばれる除草(トラクターなどの後方につける農機具。カルチベーター)が週に1 度。人手による草取りは毎日畑のどこかを周回します。タマネギの葉はネギのように上に伸び、他の野菜がするようにひさし状に葉を広げないため、雑草が上から覆って太陽を遮ってしまったら、命とり。根から養分を取られることも大きいですが、雑草はタマネギにとっては天敵というわけです。「有機のタマネギは高いっていう声も聞こえてくるけど、人手による草取りはどうしても必要なんで、そこはご理解いただきたいところです」もうひとつ、つちから農場のこだわりは、かん水(水やり)です。「水やりは自然まかせ。ほとんどしたことがない」そしてまた1 枚の写真と、ある調査結果を見せてくれました。写真は根の付いたタマネギ。根が50cm程あって普通こんなに長いものは珍しいそうです。調査結果は淡路など全国各地のタマネギとの糖度比較。つちから農場のタマネギはトップクラスの糖度を誇っていたのです。「水をやるとタマネギは横に根を伸ばしてしまう。ところが水がないと下に長く根を伸ばす。それで土中のさまざまな栄養分を吸収するんだと思う」
 つちから農場の事務所には(農場に事務所があること自体珍しいですが)、企業理念が書かれた大判ポスターが貼られていました。「ブランディング(イメージ醸成)も大切だけどインナーブランディング(意思統一)も大切。やりがいって見失いがちだから、きちんと共有できればってことなんだけど。」
 「人間だって野菜だって、放っといても伸びてくでしょ。人間がどうこうしようなんておこがましいこと。自然の摂理に従う方が合理的だしラク。だから不自然なものを自然な形にしています」手のかかる土づくりや、除草、敢えて行わないかん水。つちから農場の「あたりまえ」には、大きな自然への敬意が込められています。

目次
閉じる