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福尾ファーム(福尾 拓)・新篠津村

有機圃場面積:330a 認定団体・認定番号:JASCERT・A12-062901
大根

みらいすくすく通信第517号で紹介(2021.9)

 福尾さんは札幌出身。高校時代、青年海外協力隊に憧れ、調べてみると農業分野の募集が多かったことから、東京都世田谷にある東京農業大学に進みました。学部は国際食料情報学部、サークルも熱帯作物学研究室と海外への準備を着々と進めていきましたが、授業が農家での実習が多く、全国各地の農家に触れるにつれ、農業で生計を立てていこう、と考えが変わっていきました。就活期には、農業での企業説明会にあたる「新・農業人フェア」に参加し、そこでオーガニック新篠津(新篠津の有機生産者グループ)と出会い、有機農業に未来を感じ、そこに進むことを決めました。

 オーガニック新篠津では、2年間各農家でのお手伝いを経験した後、小原ファームでのダイコン栽培を5年程サポート、その後2年研修という形で畑を任され、独立に至りました。300アール(約170m四方)程の畑でダイコンを中心に栽培しています。

 ダイコン作りの1年は、雪解けの4月末から。8月末までの4か月を基本的に1日1000本を毎日植え、7月からの4か月を1日1000本毎日出荷という流れです。除草、収穫は奥様の綾さんも手伝い、手作業が中心、肥料はぼかしを中心に使っているといいます。計量、選別、洗い、梱包の出荷作業は、綾さんのママ友も手伝ってくれありがたいとのこと。今年の干ばつの影響を聞いてみると「高温障害(中が赤く苦くなる)が出て7000本廃棄しました。10本中10本なっているわけじゃないんですが、切らないとわからないので」。切らなければわからないというのは、農家及び野菜販売関係者の痛いところ。「以前も似たようなことがあって選別して出したときに、『辛くて食べられない。捨てました』というコメントをいただいて。でも自分がその立場だったら嫌ですし、1回売って終わりじゃなくて毎年食べていただくものですから。言っていただいてよかったですし技術で改善していきたいと思います」
と前を向きます。

 ダイコンは、日本で最も食べられるという野菜(2012厚労省)。古代エジプトでも食べていたと言われ、日本でも日本書紀に「於朋根(おおね)」として登場します。平安期にはすずしろといって春の七草に数えられ、およそ1300年も日本の食卓を支える大定番野菜です。胃腸薬にも配合されるジアスターゼは炭水化物の消化を助け、辛味成分のイソチオシアネートはがん予防効果、解毒作用があるといわれます。このイソチオシアネートのもととなる成分は、ダイコンの自衛作用によるものといわれ、夏、暖かく虫が多くなると自ら辛くなって齧られるのを防ごうとするもの。先端部の方が辛いのも伸びていく際にそれを防ぐためで、栄養面を考えると先端部がいいというわけです。おろすときは優しく円形におろすと甘く、強くおろすと辛くなります。ダイコンの側面のひげ根も、真っ直ぐなものより斜めのものが辛めというのは、固い土を捻って下に伸びようとするダイコンの作用によるもの。一方で冬のダイコンは凍るまいとして甘くなるという、ダイコンの生命力を感じます。

 「小原さんのところで専属的にダイコンを教えていただき、オーガニック新篠津というすでに売り先のある環境で独立させていただき今があります。新規就農はこういうサポートがないと難しいと思います。有機のダイコンを必要としている人がいると思って、がんばります!」かつて海外協力隊に憧れた実直な思いは、今はダイコンに真っ直ぐに注がれています。

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