有機農協のネットショップ有機市場・旬の有機野菜を全国へお届け。 北海道有機市場

ぼちぼち舎(田中 秀樹)・当麻町

有機圃場面積:190a 認定団体・認定番号:HOSK・A07-050502
長ねぎ、空芯菜、モロヘーヤ、ミニ南瓜、ズッキーニ、ミニトマト、ピーマン、パプリカ、パセリ

みらいすくすく通信第512号で紹介(2021・08)

 当麻町は旭川の東方、お米やでんすけすいかが有名な農業地帯。田中さんの畑はその外れの小高い丘にあります。家の周りに見渡せる範囲で約190アール(≒100m×200m)。そのおよそ半分を休耕で緑肥用に植えているという菜の花とひまわりが見頃を迎えていました。北海道有機農協に出荷している野菜以外にも、シンディスイート、グリンピース、ショウガ、山ワサビ、アスパラ、ゴーヤ、スベリヒユ、フェンネル、アーティチョーク、ブルーベリー、ジューンベリー、マルメロ、そしてサクランボ等々、少しずつきれいに「食べたい」ものが植えられています。

 自分が食べたいものを作る田中さんにとって、有機野菜というのは自然な流れでした。除草は機械と手取り。肥料は、以前は自家製のぼかし肥料を作っていたそうですが、体力の限界(笑)で現在は既成の有機肥料だそう。防除(虫対策)は天敵にがんばってもらう、いたってシンプルなスタイル。これまで有機栽培で大変だったことを聞いてみると、「1992 年、雨ばかりで畑が水没したこと、そして今年! こんなに雨がないのは初めてじゃない? ため池から水運んで大変だし、
ピーマンは水分不足で尻腐れして半分くらい投げてます(泣)」。かつて収入が足りなかった時には、北海道有機農協の前身にあたる組織で野菜の配達など札幌へ出稼ぎなどもしていたそうです。「小路さん(現組合長)らと同じ建物で寝泊まりしてたもんだよ(笑)」。

 田中さんは大阪、藤井寺出身。大学を中退し専門学校へ入り直し、就職した仕事も28歳で辞めてしまいました。大学を辞めた頃には家にひきこもっていた時期もあったようで「自分には一般的な道は合っていないんじゃないだろうか。漁師でも農家でも、どうしても北海道に住みたい」と、その後北海道各地を、自分の居場所を探すかのように周りました。農家の口伝で手伝いがてら滞在して場所を探し、江丹別、大滝、新得と渡り(新得では宇井農場に1 カ月程滞在したそうです!)、そして当麻で、東京から来道し1984 年に新規就農していた福山憲昭さんとの出会いが決定的となり、今の場所での就農が決まったとのこと。福山さんは「グループ’84」という有機野菜の小組織を作って近郊消費者への宅配や地域の生協への卸を始めましたが、田中さんもこれに所属し、このことも田中さんにとっては幸運だったのでしょう。

 社会に居場所がないと感じても、都会の便利さがなかったとしても、自分の身の丈に合った生活を探しだし、自然の中で好きなものに囲まれて過ごす田中さんを見ると、本当の豊かさというものを考えさせられます。

 関西弁で「儲かりまっか?」「ぼちぼちでんな」というのはもはや本来の意味を超えた挨拶の常とう句。子どもたち二人も家を出て、畑の稼働も半分程になったそうですが、今後の展望を田中さんに聞いてみると、「ぼちぼちやるさ」という答えが返ってきました。

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