有機農協のネットショップ有機市場・旬の有機野菜を全国へお届け。 北海道有機市場

ナッツふぁーむ(菅野 昌寛)・当麻町

有機圃場面積:342a 認定機関・認定番号 北農会・第23002号-01
アスパラ

みらいすくすく通信第524号で紹介(2021.11)

 「○〇さんのレタス」、「△△さんのキャベツ」、有機野菜には時折「野菜に名前が書いてある」と感じる時があります。生産地の気候環境もそうですが、生産者の思いや工夫が加わり、その生産者独自の味になるのでしょう。「ナッツふぁーむ、菅野さんのトマト」も、名前を感じる野菜です。「トマトはカリウムが大事だと思うから」と海水由来のカリウム塩をまき、病気の予防に、「微生物が働くように」糠に納豆を混ぜたオリジナルのものを頻繁にまくそうです。ひとつひとつに考えた上での工夫を凝らし、意図した結果を野菜栽培に見るのは楽しいと言います。

 菅野さんは兵庫県生まれ。父親が貿易関係の仕事をしていて転勤が多く、高校までに海外を含む12の学校に通いました。「食べものを作ることに興味があったのと定住への憧れがあって(笑)」北海道に惹かれ、高校卒業後は北大へ進みました。

 嫌だったという転校は、一方でさまざまな環境を体験させ、多様性への理解であったり、自給的コミュニティというものへの興味をかき立てました。なんと学生時代から30アール(約50m四方)の畑を借り、野菜の栽培を始めたのです。さらには、在学中に入った「農業問題研究会」というサークルでの積丹、たかのふぁーむの農業体験において、自身が大師匠と仰ぐ髙野健治さんとの出会いがありました。髙野さんはそれこそ自給的コミュニティ作りに挑戦してきた方でしたので「野菜作りもそうですが、自立的な考えや、コミュニティの難しさ等いろんなことを教わりました。お酒もそう(笑)」。

 大学卒業後は農家になることを前提に資金作りのためと、社会人として6年間過ごし、その間も畑作業は続け、いよいよ農地を探し始めます。お米が作れて消費地の近く、という場所で探していたときに、当麻で精力的に有機栽培をしていた福山憲昭さんと出会い、研修先を紹介してもらいます。2年間の研修を経て、研修先の圃場を分けていただく形で新規就農を果たしました。

 就農時は有機JASが始まる前でしたが、当然という感覚で最初から有機栽培。堆肥は鶏糞や籾殻を中心に使い、除草は「余裕がないので、できる限りポリマルチで抑え込む(笑)」、虫対策は「早朝歩いて回ってできるだけ取る」。はじめは養鶏をしたり、種類ももっとあったそうですが、どんどん厳選して今の作付けに至るようです。「今後は時代を鑑みて肥料をなくしたり、ポリマルチもなくしたりしなきゃいけないね。ポリマルチに代わる、保温・保湿効果がありなおかつ土に還る素材を探していきたい」。クラシック鑑賞や読書が趣味とのことで、情報吸収してはまた次のアイデアをと余念がありません。

 現在は研修やWWOOF(ウーフ・宿と食を提供する有機農業のボランティア)も積極的に受け入れており、当麻町の新規就農相談員としても活動しています。「かつては自分が流浪の民だったけど、今はこうして好きなことをさせてもらい、今度はホストとしていろな人に出会えることに感謝しています」。菅野さんのこだわりが詰まったナッツふぁーむの野菜を、来年以降、楽しみに待ちましょう。

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