みらいすくすく通信第530号で紹介(2021.12)
博幸さんの父、孝一さんが北海道に憧れて来道し、新規就農して始めたのが大塚農園です。孝一さんは新潟県出身。東京で会社員として働いていたこともありましたが、知人を介して北海道で酪農を手伝う機会があり、そのうちに広大な十勝平野で
の畑作を志すようになり、新得町へ移り住みました。もともと牧場だった山の近くの土地で、熊の足跡を度々見つけ、当初は恐怖に怯えていたそうですが、もう買ってしまった土地だと覚悟を決めて農業に臨んでいるそうです。
長男の博幸さんは札幌にある農業の専門学校、八紘学園へ通い、以降2 0 年以上家族で農業を営み、今年から代替わりしました。訪れたこの日も、収穫を父親が、運搬を母親が、計量、梱包を博幸さんがと、家族でそれぞれの担当を全うする姿がありました。
大塚農園の1 年は2 月、1 9 棟のハウスの建てこみから始まります。圃場は新得の中心部から離れたところにあり、5 3 2アール(約2 3 0 m 四方)と、家族3人で作業するには決して狭くはありません。ハウスでは果菜類やキャベツの育苗、ラディッシュ、葉野菜の種まきと始まり、雪どけ後は露地でキャベツの定植、ダイコン、ハクサイ、ズッキーニ、長ネギと植えていきます。葉野菜は二期作、三期作と回転させ、グリーンシーズンは長く供給できるようにしています。露地でも植えますが、今年は干ばつでコマツナなど芽が出ないものもあったそうです。有機JASは、制度のはじまりの頃に取得していたので、博幸さんにとっては当初から有機栽培での就農ということになります。肥料は鶏糞を中心に使い、「虫や病気、草取りは大変だけれど、有機は味が良いし、求める人に食べてもらえれば」と言います。
ロマネスコやカリフラワーなども挑戦したそうですがうまく育たず、品目を増やすのはもうちょっと先になりそうです。かつてはパートさんも来てもらっていましたが、今はいなくなってしまい、人手不足は生産性にも影響があるそう。「草取りさえできれば少人数でもなんとかなると思います。草取りは嫌いじゃないので」。メジャーな野菜ではないミニ白菜やターサイは、家族農での細やかな栽培があってこそ。消費者を思ってさまざまな品目を届けてくれる大塚農園の家族野菜を今後も楽しみにいただきたいと思います。