有機農協のネットショップ有機市場・旬の有機野菜を全国へお届け。 北海道有機市場

サングリーンファーム(野村孝司)・遠別町

有機圃場面積:214a 認定機関・認定番号 北農会・第15006号-03
ほうれん草

みらいすくすく通信第521号で紹介(2021.10)

 ホウレンソウというと、食べると超人的パワーを発揮するアメリカのアニメシリーズ「ポパイ」が頭に浮かぶ方も多いかもしれません。西アジアを原産として、日本へは東方ルートで来た葉先が剣状のものを東洋種、西方ルートで来た葉が丸みを帯びたものを西洋種として、古くから全世界的に食されている定番野菜ですが、それは調理がしやすく幅広いからというだけではなく、ビタミン、ミネラルが豊富でまさに食べると元気になるというところによるものでしょう。

 野村さんは遠別の農家の出身。遠別農業高校から札幌にある農業の専門学校、八紘学園へと進み、さらには農業研修生派米事業という制度を活かしてアメリカへ渡りました。アメリカの真ん中に位置するネブラスカ州で2年間、畜産や果樹、そして語学について学んだそうです。戻ってからは社長が遠別出身というご縁で、札幌にある青果の仲卸会社へ就職。大手スーパーにさまざまな野菜を卸す仕事で、今度は流通について関わることになりました。

 数年を経、30歳を目前にして、ここで野村さんにある思いが湧いてきました。「ホウレンソウはとても人気があるのに、特に夏、品薄になることが多い。冷涼な気候の故郷遠別で通年ホウレンソウを作れば需要を満たせるのではないか」。農家はそれまで継ぐつもりはなかったということですが、気が付けば結果的に農業の基礎から流通までが身についていました。農家になることに時間はかかりませんでした。

 就農して30年になりますが、今の場所は同じ遠別の中でも3か所目になります。はじめの場所は元水田。遠別は稲作の北限ともいわれていますが、砂利を埋めて農地に戻した、非常に水はけの悪い場所でした。それならばと畑作地を探し移りましたが、そこでそれまでいた農家が作っていたのがビート。ビートはホウレンソウと同じアカザ科で、連作障害による病気が多く出てきてしまいました。そうして移ってきたのが今の場所です。このタイミングがちょうど有機JASが日本で始まる頃で、知人の薦めを受けていました。有機野菜の売り先はというと、当時はなかなか少ないものですが、北広島のタクムガーデンの佐々木透さんに北海道有機農協の存在を教えてもらい、野村さんは有機栽培を始めることにしました。野村さんと佐々木さんは、なんと農業研修生派米事業で同期という友人だったのです。

 サングリーンファームの1年は3月上旬から始まります。除雪をして約30ほどのハウスを張り、土が乾いたら3月下旬から種まきを開始します。これを5月に収穫してまた種をまいてと続け、20 0アール(約140m四方)の畑で2回転から多いところでは4回転させ、ちょっとずつ時期をずらしながら種をまくことで、ホウレンソウが絶え間なく出荷できることになります。先日、9月の最後の種まきが終わったということで、これを11月に収穫して終了です。堆肥は発酵させた牛ふんを使い、除草は鍬と手作業で行います。かん水は沢の水をくみ上げて頻繁に与え、乾燥するとコナダニが出てくるというのですが、防除は何もしないので、出たらお手上げとのこと。

 「有機だと成育は遅いけれど連作ができる。今年は暑さがひどく、発芽が悪かったこともあったけどそれでも収穫は途切れず、収量もそれほど減らなかったかな」。夏のホウレンソウ栽培に苦心する農家が多い中、ここでは夏場も栽培が可能です。日本海のミネラルを含んだ雲が山にあたって雨や雪となって大地を潤し、先述の栄養豊富なホウレンソウを育てるのであれば、遠別はホウレンソウの最適地といえるのかもしれません。さまざまなご縁と、野村さんの熱意で生まれた遠別のホウレンソウを、今後も美味しくいただきたいと思います。

5 月以降は種まき、草取り、収穫が並行して続くのでパートの方3 名と奥様とでこなしていると

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