みらいすくすく通信第529号で紹介(2021.12)
お二人とも道外で生まれ育ち、東京都内で10年程流通関係の仕事に就いていましたが、北海道へ憧れを抱いて30代で移住してきました。
「やっぱりT h e 北海道という感じの、富良野や美瑛の美しい風景に憧れました。最初は雪も新鮮で、除雪のアルバイトなんかも楽しかったですね」。
食べていくなら農業、農業なら有機と調べていくうちに、当麻で有機栽培の情報発信をしていた福山憲昭さん、景子さんご夫妻にたどり着き、ここでの研修を経て、1年後独立しました。当初はさまざまな作物を作っていて、有機農協へはスナップエンドウや青シソを出荷していた年度もありましたが、現在は絞り込み、コマツナの他はミズナ、パクチーを栽培しています。あまり広い畑ではない(65アール≒約80m四方)ので、回転など効率を考えての選択だそうです。
1年の始まりは2月の除雪から。3月中旬からハウスでの最初の種まきを行い、コマツナは基本的には40日で収穫を迎えるため4月末に収穫。そして肥料を加えてまた種まきというのを、途中露地も加えながら10月まで場所によって3 回転ほどさせ、11月の収穫で終了となります。これにより、グリーンシーズンはほぼ毎日200 ~300束のコマツナを都市圏に出荷しています。「40日で1回転で計算すると、もっと採れると思うかもしれませんが、場所や天候で生育が変わるのでそんなにきれいにはいきません」。肥料は発酵鶏糞や石灰を用い、有機JAS法で使用が認められた農薬による防除(虫対策)はほとんどしてこなかったそうですが、昨今ひどい時は、天然由来の虫よけを用いることもあるそうです。病気に関しては、強い品種に種を変えるということで対策とします。コマツナは雑草を放っておくと湿気がちになって病気が起きやすく、除草がとても大切といいます。「有機といっても見た目は大事だと思うので、お客さんにとってよりいいものを出せるようがんばります」
除草も収穫も手作業で単純作業のため、気が滅入ることもあるようですが、趣味ができたことで気分転換ができるようになったそうです。「山登りをするようになって文字通り景色が変わりました。自分の時間を作れるように、仕事もメリハリをつけてやるようになりました」。黒岳や富良野岳、美瑛岳、ウペペサンケ山、ニペソツ山など気になるところから順に挑戦し、これがきっかけで北海道の良さをもっと知りたくなったそうです。頭の中にはまだまだ考えていることがあるそうで、お二人の目に映る景色が今後どう変わっていくか楽しみです。